もう10年前になるが、「わが子は発達障害 (シリーズ・わたしの体験記)」で親御さんの体験記を募集したことがある。日本の各地で発達障害の子どもをお持ちにご両親や祖父母の方が、子育てに努力されている姿が伝わってきた。良い専門家に出会えて救われた方、専門家の心ない言葉で深く傷つかれた方。地域で支援を受けられた方、地域にはなんの支援体制もなく家族だけで頑張られた方。大人しすぎて心配なお子さん、片時もじっとしていなくて、いつも子どもを追いかけねばならないほど多動なお子さん。発達障害の子どもと親御さんのあり方は,本当にざまざまだった。痛感したのは発達障害に対する理解が2014年時点で不十分だったことだ。手記を書かれた多くのお母さんやお父さんが、発達障害に対する世間の無理解に、時には教師や保育士、さらには臨床心理士や医師など専門職の無理解に苦悩するようすが伺えた。10年たって、少しは改善しているのだろうか、調べてみたい。
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