いわゆる問題行動の対策

 自閉症スペクトラムについての相談で最も多いテーマの一つは「問題行動」の対応ですね。どのような対応をするのか、構造化やABAやコミュニケーション指導や感覚統合、薬物療法など、さまざまな方法が提案されています。

 「問題行動」という言葉には「問題」」の所在は「相手側」、つまり自閉症の人にあるという見方が暗黙の了解であるように思います。問題行動の相談をしたいという支援者の方で、問題は支援者にあると思っている人は滅多にいません。

 長年の友人のリチャード・ミルズ先生と話題に登るのは「シナジー・プログラム」です。
https://www.atautism.org/the-synergy-programme/
synergyで検索すると、ちょっと似ているけど異なるサイトが出てくることがあるので注意してください。

このプログラムは自閉症だけが対象ではないし、特定の障害のある人を対象にしているわけでもありません。特徴は、主な対象が教師などの支援者であることです。とはいうものの、支援者を対象に構造化やABA、障害の知識を伝えるものでありません。シナジーの新しいところは、支援者の「ものの見方」に焦点を当てることです。背景には、哲学や社会心理学、生理学、社会学などの知見があります。例えば、ヒトの脳のシステムには「感情的な脳」と「理性的な脳」があります。前者をシステム1、後者をシステム2とも呼ぶことがあります。システム1(感情的な脳)とは、危機に瀕した時に戦うか逃げるかの状態で作動し、本能的で早い決断ができるが、さまざまなバイアスが生じます。一方システム2は熟慮的で計画的だが時間がかかります。「問題行動」に直面した時には熟練の支援者絵もシステム1が優位になるかもしれません。

 「問題行動」に介入する際に、きちんと状況を把握しアセスメントすることが重要です。それは、その通りです、ほとんどの場合、その情報は対象者(例えば、自閉症の子ども)のアセスメントであって、支援者がどのような気持ちになっているかは議論されることがないのはちょっと不思議ですね。シナジーはここに焦点を当てます。もちろん、自閉症の理解や構造化の支援と共存するものです。こういった見方が今まで少なすぎたかもしれません。 

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